ジョーダン・スピースが終盤、圧巻の爆発で全英オープン 2017を初制覇しました。
セベ・バレステロスの駐車場ショットを彷彿とさせる練習場からのスーパーショット~ジョーダン・スピース
ロイヤルパークデール(7,156ヤード/パー70)で行われた全英オープン。最終日前半に3ボギーとスコアを落とし、バックナインの13番ホール パー4でのティーショットを大きく右へ曲げ痛恨のブッシュに。さすがのスピースも文字通り頭を抱えました。
丘の上へ駆け上がり、グリーン方向とボールのドロップ地点を目測するスピースとキャディのマイケル・グレラー。
しかし、次のリカバリーショットがこの勝負を左右すると読むやいなやアンプレイアブルを宣言し、1罰打となる3打目を1打目を打ち込んだ地点より100ヤード後方にある練習場から打つことを勇断。スピースはこのホールをボギーで上がるマネジメントを選択しました。
コース競技委員と30分に渡る確認を終え、放ったショットはグリーンへ一直線で向かい、グリーン横のバンカー手前に着弾。
左右に人垣を挟んだ岡超えのショットを放つスピース。
スピースは4打目をピン手前3メートルに寄せ、5打目でねじ込み狙い通りのボギー。
セベ・バレステロスの駐車場ショット
1979年、ロイヤルリザムで行われた全英オープン最終日、セベ・バレステロスは16番ホールでトラブルに巻き込まれます。ティーショットのボールは駐車場へ向かいなんと駐車中のクルマの下へ。
救済措置でクルマは移動されたもののライはベアグランドの上、グリーンは見えず。セベは自分の感覚を信じてアイアンを振り抜いたボールは、ピン横4メートル。これを入れて初のメジャータイトルを22歳で達成しました。
怒涛の14、15、16、17番ホール~ジョーダン・スピース
ジョーダン・スピースは13番ホールを計算通りのボギーで凌いだものの、この瞬間マット・クーチャーと首位が入れ替わり1打差の2位となりました。しかし、スピースのキャディであるマイケル・グレラーは “We dropped this hall, but now at this moment the flow has become ours !(このホールは落としたが、この瞬間こそ俺たちに流れが向いたぞ!)” とスピースへ力強く語りかけました。
マイケル・グレラーってどんな人?
マイケル・グレラー(Michael Greller)は、スピースがジュニア時代だったときからの生涯のキャディなんです。もともとは小学校の数学&理科の教師で、ハンディ シングルの腕前を持つグレラ-氏は、夏休みの間に開催されるアマチュアトーナメント選手のキャディをするのが趣味でした。
2010年の全米ジュニア・アマチュア選手権で、ジャスティン・トーマスのキャディをした事が縁となり、翌2011年の全米ジュニアアマに出場したジョーダン・スピースのキャディをすることになったのです(トーマスとスピースは互いに親友で、グレラーを紹介したのがトーマスでした)。キャディ グレラ-とラウンドした結果、スピースは全米ジュニアアマの2連覇を達成(タイガー・ウッズ以来2人目)。スピースとグレラ-は、それ以来のコンビなんです。
2012年にスピースが世界アマチュアランクNo.1 達成をきっかけに、大学中退・プロ転向したときに帯同したのもグレラ-でした。その時グレラーは、小学校に1年間の休暇を取ってまでの決断でした。その1年後、めきめきとトップゴルファーに上り詰めたスピースからキャディ継続を頼まれたグレラーは、教師職を辞める一大決心をしたのでした。
現在、グレラーの年収は1億円を超えているそうです。人生の岐路で腹をくくるって、大事なことですね。ちなみに、幼稚園の先生をやっていたグレラ-の奥さんも同じタイミングで職を辞して、夫とスピースのツアーに帯同してるそうです。きっとこの内助の功も奏してるのでしょうね。