2021年4月12日、松山英樹選手が日本人として初めてマスターズで優勝しました。この快挙は日本だけでなく世界中から称賛されました。そこで、もうひとり注目されたのが松山英樹選手の専属キャディ、早藤将太さんです。
早藤将太 キャディとは
なぜ、早藤キャディが世界の人々から注目されることになったのでしょうか?
それはホールアウト後に、早藤キャディが行ったある行為のためでした。
最終18番ホール、松山選手がウィニングパットを決めた瞬間、観客の盛大な拍手とスタンディングオベーションで祝福されるなか、松山選手と早藤キャディは勝利の抱擁を交わしました。
その後、松山選手はクラブハウスに向い栄光のヴィクトリーロードを歩いて行きます。
優勝を称える観客が祝福の言葉をかける中、松山選手は次々とグータッチを交わしていきました。
対象的に早藤キャディは誰もいなくなった18番ホールのグリーンへ向かいピンを元に戻し、コースに向かって脱帽一礼したのです。
たまたま外国メディアが撮影したこのシーンはアメリカの大手メディアのCBSやESPNがSNSで紹介。またたく間に拡散し、世界中から称賛の声が上がったというわけです。
この記事ではそんな早藤キャディってどんな人なのか、少し触れていきます。
早藤将太 | プロフィール
(シーン、早藤若い時の写真)
早藤将太、1993年10月7日生まれの28歳。(2021年10月23日現在)
中学、高校ともに、早藤さんの出身校は松山選手と同じ高知県の明徳義塾です。
早藤さんがゴルフを始めたのは13歳から。中学へ入学してから半年後の10月あたり、ということになります。
少し遅いほうかも知れませんが、すぐにメキメキと頭角を現します。
中学3年生で出場した2008年7月の「四国ジュニアゴルフ選手権」で2位。続く11月の「四国ジュニアゴルフ選手権新人戦」で2位となります。
ゴルフを始めてからまだ2年前後で、この成績。
凄いと思いませんか?
2009年、明徳義塾高校へ進学し同年の6月、高校一年生で臨んだ「高知県アマチュアゴルフ選手権」で3位に入賞。
翌年の2010年7月には高校2年生で出場した「四国ジュニアゴルフ選手権新人戦」でついに優勝するなど、将来を嘱望されるほど実力をもった若手ゴルファーの一人でした。
松山選手とは明徳義塾高校のときから、そして東北福祉大学までずっとゴルフ部の先輩後輩として苦楽をともにしてきた間柄です。
2015年大学卒業後はプロ転向し、2016年からPGAの下部組織である中国のツアーチャイナでプレーしていました。
そんななか、2017年10月にマレーシア、クアラルンプールで行われたPGAツアー「CIMBクラシック」で、松山選手のキャディを努めます。
海外で松山選手のキャディを務めるのは、これが初めてでした。
松山英樹、26歳。早藤将太、24歳のときです。
そのときの早藤さんのキャディぶりを松山選手は、つぎのように語っています。
「キャディと選手、というよりはプレイヤーとプレイヤー。そういう目線でやったから、うまくいったのかも知れない」と、早くも松山選手に認められる存在になりました。
それもそのはず。早藤さんはこの時点ではまだ日本のツアープロを目指していたわけですから。
ゴルフの腕前
ここに一枚のスコアカードがあります。
これは、早藤さんのゴルフの腕前がどれほどなのかを証明するものです。
2019年6月にアメリカ、カリフォルニア州にあるペブルビーチゴルフリンクス。松山選手とツーサムでラウンドしたときのスコアカードです。(パー72)
ご覧のように前半のOUTで松山選手が34の15パットに対し早藤キャディは33の13パット。
なんと早藤キャディが1打リードしているんです。
凄いですね。
ところが松山選手はPGAツアートッププレイヤーとしての意地を見せ後半のINで底力を炸裂させます。
INでは、松山選手が30の13パットでトータル64。早藤キャディが37の15パットでトータル70。
松山選手が、あっさりと逆転してしまいました。
それにしても二人とも28パットって、言葉になりません。
人生の転機
早藤さんに人生の転機が訪れたのは2019年のことです。
松山選手がプロデビューした2013年4月の東建ホームメイトカップからずっと専属キャディを務めていた進藤大典氏が2018年11月のダンロップフェニックストーナメントで契約を終了することになりました。
時期は重なっていませんが、進藤キャディも明徳義塾中学・高校、東北福祉大学出身で松山選手の先輩にあたります。
次のキャディは誰にするのか?
そこで白羽の矢が立ったのが早藤将太さんでした。
ちょうど早藤さんが2019年のツアーチャイナのシード権を失ってしまったタイミングであったことも、偶然ではないような気がします。
大学在籍時代を含めこれまでも松山選手のキャディバッグを何度も担いだことがある早藤さん。
こうして2019年から正式に松山選手専属のキャディとなりチーム松山の一員となったのです。
2017年8月のPGAツアーブリヂストン招待 選手権を最後にしばらく優勝から遠ざかっていたため、早藤キャディに注がれる厳しい視線もありました。それでも彼にとっての初優勝が今回のマスターズだったということは、彼は何か持ってるのかも知れませんね。
マスターズで優勝した経験は、きっとこれから重ねていくであろう勝利の糧として最高のディナーだったのではないでしょうか。
松山英樹の相棒
最後に、早藤キャディと松山選手の間柄を表すワンシーンをご覧いただきましょう。
優勝セレモニースピーチのあと。飯田光輝トレーナー、目澤秀憲コーチ、ボブ・ターナー通訳が加わり、チーム松山の5人で記念写真を撮影しました。
その後、マスターズの優勝トロフィーを松山選手と早藤キャディの二人で持つツーショット撮影があったのです。ところが松山選手がわざとトロフィーを落とす仕草で早藤キャディを驚かせます。
びっくりした早藤キャディの顔を見た松山選手がとても嬉しそうなんです。
このシーンは実に微笑ましく、この二人の関係性を表してるとなぁ感じました。
松山選手のマスターズ優勝インタビューの動画です。早藤キャディを驚かすシーンが33秒あたりで現れるのでご覧になってみてください。
これから勝利を重ねていくであろうこの二人をこれからも応援していきたいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
早藤翔太 キャディが世界から称賛された動画
追記:松山英樹、通算8勝目!
1月17日(日本時間)、最終日を迎えたソニーオープン in ハワイ。松山英樹選手がついにアジア人最多優勝に並ぶPGAツアー通算8勝目をあげました。
劇的な逆転優勝でした。
前半5打差をつけ逃げ切り体制に入るラッセル・ヘンリーに対し、松山選手は後半サンデーバック9に4バーディの猛チャージでプレーオフに持ち込みました。
プレーオフ1ホール目に2打目3ウッドをピン手前80センチに持っていき2オン。最後は圧巻のイーグルで優勝!
松山選手、優勝おめでとうございます!